会社の経営がうまくいっているかどうかを売上高や利益に注目して判断することがあります。
しかし、売上高や利益といった数字を追うだけでは、必ずしも本当の経営状態はわかりません。
利益が出ているのに資金が足りなくなることを「勘定合って銭足らず」と言いますが、今回は具体的な事例で説明したいと思います。
<支出=経費ではない>
次の①~③の内容は支出に対して経費は少なくなり、利益に対し「勘定合って銭足らず」となります。
①機械、車などの固定資産の購入は法定耐用年数(普通車であれば6年間など)による年数割りの経費となり、支出時に全額は経費になりません。
(例)現金売上600万円、普通車を購入し600万円支払った場合
・支出金額は600万円
・1年間の経費額は100万円(減価償却費)となります。
【お金の動き】
売上入金:600万円 現金支出:車購入600万円 現金残高0万円
【利益の計算】
売上:600万円 経費額(減価償却費):100万円 利益500万円
以上のように、現金残高はゼロですが利益は500万円となります。
利益500万円に対して税金が150万円程度課税される為、上記の内容ですと納税資金が足りない計算となります。
次の②③の内容も同じような結果となります。
②銀行借入金で高額な資産(土地・建物など)を購入した場合。
③法人生命保険契約において、全額資産計上や半額資産計上となる契約の場合。
<売上計上と入金の時間差>
売上は、実際にお金が入った時に計上するのではなく、相手先へ商品を納品した時やサービスの提供が終わった段階で計上します。
売上計上時に現金で回収できれば勘定とお金は合うのですが、回収が売上計上時よりも遅いタイミングになるケースが少なくありません。
売掛金として1か月後に回収するパターンなどがこれに該当します。この時間差が問題で資金不足の要因となります。
<納税資金の確保>
利益が出た場合の実際の納税は、法人は決算の2ヶ月後、個人は翌年の3月・4月となります。
納税の前に、①から③のような大きな支出をすると、納税資金が不足してしまうので注意が必要です。
特に消費税はここ数年で10%に増加しており、インボイス制度導入の影響でさらに納税額が増加する傾向にあります。
利益を把握しつつ、資金繰りについては資金不足にならない様、納税資金を確保する事が理想です。
【トピックス】資金繰りと利益
2024-10-04