高齢化社会において、大きな課題となっているのが「認知症の増加」。
“認知機能が衰えた場合、財産の管理はどうしたらいい?”
そう不安に思う人も多いのではないでしょうか。
そこで活用できるのが「家族信託」という制度です。
◆家族信託とは?
信頼できる家族・親族に財産を託し、費用を抑えて柔軟な財産管理と資産継承を目指すことができるのが家族信託です。
(例)父(託す人)が息子(託される人)に財産の管理を任せ、
その利益を父(利益を受け取る人)が受けます。
◆「家族信託」と「成年後見制度」の違い
①頼まれた人を例えると
<家族信託>管理人
<成年後見>代理人
②いつから効力が発生するか
<家族信託>原則、契約締結の時
<成年後見>判断能力が衰えた時
③コスト
<家族信託>初期費用:50万~
<成年後見>初期費用:10万~20万、 監査人報酬:1万~/月
④契約対象
<家族信託>財産(不動産・お金など)
<成年後見>財産から生活の世話まで
⑤監督
<家族信託>監督なし
<成年後見>監督機関は裁判所で、効力発生時に司法書士又は弁護士の監督人が必要
⑥契約書
<家族信託>自由(公正証書推奨)
<成年後見>公正証書
⑦不動産売却
<家族信託>家庭裁判所の許可などは不要
<成年後見>家庭裁判所の許可・関与が必要
⑧生前贈与
<家族信託>可能
<成年後見>後見人は行えない
◆家族信託のメリット・デメリット
家族信託は、自分の思い描いているような相続や継承を実行するには自由度が高く最適な制度です。
以下のようなメリット・デメリットがあります。
<メリット>
①認知症になる前から財産を託すことができ、認知能力が落ちるまで受託者の言動を見届けることが出来ます。
②相続が発生するまでは財産は「委託者のもの」なので、仮に受託者が多額の債務を負っても託した財産が指押されられることはありません。
③後見制度では事実上できない賃貸経営や不動産の処分も可能。手続きの手間が少ない。
④心配な事情がある場合、自分が元気なうちに没後の対策を行う事が出来ます。
<デメリット>
①「家族の誰も委託者をやりたがらない」という可能性があります。子どもの立場だと「管理について親にいいにくい」ことも。
②後見人制度の場合は、対象者の生活や療養・介護などの法律行為をすることが可能ですが、家族信託の場合は後見人制度と比べ、行えることに制限があります。
③受託者は委託された財産にかかわる税務申告をする必要があります。税理士を雇うとその報酬も必要です。
④賃貸経営の場合、家族信託で不動産を託すと、託していない不動産との損益通算が出来なくなります。
家族信託は、内容の取り決めや手続きにも専門知識が必要なため弁護士や司法書士などへのご相談をおすすめします。
【トピックス】高齢化社会で注目される「家族信託」
2024-06-06