日本国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたのが令和2年1月16日でした。
今回はコロナウイルス感染症の影響で、税務調査が現在どのような影響を受けているのか、また今後どのような影響が予想されるのかについてご説明いたします。
1. ここ数年の税務調査の動向
国税庁公表の資料によりますと、法人税の調査件数は、平成30事務年度から令和2事務年度にかけてコロナウイルス感染症の影響により大幅に減少しました。
一方、調査1件当たりの申告漏れ所得金額、追徴税額はそれ以前より増加しています。大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人について調査を実施したことがうかがえます。
2. 最近の税務調査について
令和4年7月~9月では、コロナ感染者数が以前より激増しました。(第7波)しかし税務調査の件数は、コロナ禍以前の実地調査までは届きませんが、増加傾向にあります。
また、「簡易な接触」の件数も増加しています。「簡易な接触」とは、書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請することです。悪質な納税者には厳正な調査を実施する一方で、その他の納税者には「簡易な接触」を行い、効果的・効率的な事務運営を図っていることがうかがえます。
3. ウィズコロナでの将来的な税務調査様式
あまり大きなニュースにはなっていませんが、令和4年1月以降に税務調査で帳簿等の資料提出を求められた場合には、来署や郵送で外出することなく、ご自宅のパソコンやスマホからe-Tax(インターネット)で提出できるようになりました。
この施策は、コロナウイルス感染症がまだまだ長引くことを前提に打ち出されたもので、納税者の利便性を高めるものです。
なお、政府はコロナ感染症法上の位置づけについて、今年の5月8日より季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を正式に決定しました。
これにより調査件数もコロナ禍以前のように戻っていくと予想されます。
コロナウイルス感染症の影響により、売上・利益が増加している企業は調査の対象となりやすくなっておりますので、帳簿などの書類をしっかり保管して調査に備えておきましょう。
【トピックス】コロナ禍における税務調査
2023-03-11