相続法の改正
2020-08-07

 昨年、相続に関連する民法(相続法と呼ばれています。)の大きな改正がありました。今回はその中でも影響が大きい項目をご紹介します。

1.配偶者居住権の新設(2020年4月1日施行)

 配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、その建物を無償で使用することができる権利です。
 法定相続分で財産を分割しようとした場合、配偶者は自宅を取得するのみで、現金を取得できずに生活に不安が残る等の問題がありました。下記の通り、配偶者居住権の新設により、自宅に住む権利と現金を取得できるようになりました。


2.預貯金の払戻し制度の新設(2019年7月1日施行)
 
 生活費や葬儀費用の支払など、お金が必要になった場合でも、相続人は遺産分割が終了するまでは被相続人の預貯金の払戻しができないという問題がありました。
 改正により、下記①か②で少ない方の金額まで引き出し可能になりました。
 ①預貯金の残高×1/3×法定相続分 
 ②150万円
 ※複数の金融機関に残高をお持ちの場合には、それぞれの金融機関で引き出し可能。


3.自筆証書遺言の方式の緩和(2019年1月13日施行)

 自筆証書遺言は遺言者がすべて手書きする必要がありました。
 改正により、遺言書のうち財産目録はパソコン等で作成できるようになりました。ただし、自筆でないすべてのページに署名押印が必要です。


4.法務局での遺言の保管制度の新設(2020年7月10日施行)

 「自筆証書遺言」は自ら保管するため、滅失・紛失したり、隠匿や改ざんの恐れがありました。また、相続発生時に、遺言が自筆であるか、押印が遺言者のものであるか等の確認(「検認」といいます。)を家庭裁判所において受けなければなりませんでした。
 改正により、自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことが可能になりました。法務局で保管している遺言には、偽造、変造等のリスクがないため、家庭裁判所での検認の手続きが不要になりました。
なお、保管申請時に手数料が必要となります。


5.介護や看病に貢献した親族は金銭請求が可能に(2020年7月1日施行)

 相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が被相続人の介護や看病をするケースがありますが、相続人でない限り金銭の請求権がなく、遺産を相続できないため不公平であるとの指摘がされていました。
 改正により、相続人以外の親族が無償で療養看護等をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加があった場合、「特別寄与料」として相続人に対し金銭を請求できるようになりました。


 今回は改正項目から一部を抜粋してご紹介させていただきました。他にも様々な改正がありますので、ご不明な点は弊社または弁護士・司法書士にご相談ください。

戻る